「手にやさしい」老舗メーカーが除菌・除ウイルスに使う製品とは
じわじわと支持を集める除菌・除ウイルス剤を知っていますか
左から株式会社生産日本社 営業本部 製商品部 部長 山崎博司氏、執行役員 営業本部 営業推進部 部長 松村和久氏、総務部 部長代理 大河内美晴氏
昨今の感染予防対策として、除菌・ウイルス除去商品の重要性が注目されている中、工場や飲食店においてある除菌・除ウイルス剤が支持を集めているのをご存知だろうか。
それが、ブドウ種子抽出物を配合した「ユービコールノロV(通称・ノロV)」だ。
このノロVを製造しているのは、大阪府堺市西区にある創業130年以上の歴史を誇るセッツ株式会社だ。
もともとは植物油を製造する製油会社として創業した同社は、日清オイリオグループ株式会社の完全子会社となった2017年、事業構造を転換。
現在は業務用洗剤やアルコール製剤などを取り扱う衛生管理事業を中核に据えている。
2011年10月に発売されたセッツの除菌・除ウイルス剤「ユービコールノロVシリーズ」は、高い衛生管理が求められる食品工場や飲食店などで用いられ、コロナ禍では食品業界だけでなく幅広い業界から引き合いを受けている。
同製品を導入している企業の一つが、チャック袋メーカーの株式会社生産日本社(通称・セイニチ)だ。
生産日本社では、2020年11月より同商品の導入を開始。
現在、東京都千代田区にある本社と全国11カ所の営業拠点、3つの工場と、すべての拠点に導入している。
多くの除菌・除ウイルス剤がある中で、なぜセイニチは「ユービコールノロV」を選んでいるのか。
その背景と実際に導入した感想を、執行役員 営業本部 営業推進部 部長の松村和久氏、営業本部 製商品部 部長の山崎博司氏、総務部 部長代理の大河内美晴氏に聞いた。
世界で初めて一体型チャック袋を発明したセイニチ
生産日本社は、1949年に創業されたチャック袋の製造販売メーカーだ。世界で初めて一体型チャック袋を発明した企業として知られ、日本最大規模の製造設備を保有している。
従業員数は500人を超え、静岡県に浜松工場・浜北工場・都田工場の3つの工場を構えている。
2021年4月には、「チャック袋技術のパイオニア」として、『Newsweek 国際版』で取り上げられた。 注1
取引先は食品業界を始め、製薬業界や保険業界など多岐にわたる。中には、医療業界と同等の品質管理が求められる食品業界も。
「高い品質管理が求められる食品業界と製薬業界において、お客様からの厳しい品質要求に応えるべく、工場の品質管理体制については常にベストを追い求め、日々アップデートしています」(松村氏)
そんなセイニチに新型コロナの危機が迫った。
だが、セイニチの信頼と実績は揺るがなかった。
コロナ禍の2020年には、いち早く時差出勤や出勤人数の制限、リモートワークを導入。さらに工場への入室制限など、感染対策に全力で取り組んだ。
「私たちとしては当然だと思っています。もちろん手洗いや環境のアルコール除菌はコロナ禍前から実施していましたが、工場ではアルコール除菌による従業員の手荒れが大きな課題となっていました。また、コロナ禍では未知のウイルス対策を模索していることもあり、従来のものではない、よりコロナ対策に適した除菌・除ウイルス剤を探していました」
複数の国内メーカーをあたる中で、同社が興味を持ったのがセッツだった。
セッツの特許技術に注目
生産日本社では「ユービコールノロV」のテスト導入からわずか1か月ほどで、全事業所で同製品の導入が決まった。
決め手は何だったのだろうか。
「セッツ様は製品の中に含まれるブドウ種子抽出物の論文を発表し、細菌やウイルスに対する除菌・除ウイルス性能の高さを感じました。食品添加物カテゴリーという安全・安心な商品でありながら、様々なウイルスや細菌に対するエビデンスをもった商品は、他に聞いたことがありません」(松村氏)
「取引先から『感染予防はどのようなことをしているのか』という問い合わせが増えたのですが、この商品なら自信を持って、『この商品を使って感染予防をしている』と伝えられると思いました。また、実際に特許取得に携わった研究者によるプレゼンを受けた技術データに説得力があったのも、導入決定に至った理由の一つです」(松村氏)
セッツは大阪府立大学との共同研究の結果、高い抗酸化作用を持ち、食品素材としても利用されている「ブドウ種子抽出物」に高い抗ウイルス効果があることを発表し、特許も取得している。
セッツではその後も、ブドウ種子抽出物の抗ウイルス効果について研究を重ね、その研究成果を応用した低濃度タイプのエタノール製剤を開発していた。
しかし、コロナ禍ではエタノール濃度が高い商品を求められるようになった。
そこで2021年6月に誕生したのがエタノール濃度66vol%の「ユービコールノロV66」だった。
「手荒れ」を気にしていた従業員からも好評
とはいえ、商品の効果は、実際に試してみなければ分からない。そこでセイニチでは「ユービコールノロV66」を東京本社のみで導入し、受付や会議室、トイレなどに設置した。
「アルコール除菌による手荒れを気にしていた女性から好評でした。ハンドクリームを使う頻度が減ったという声も上がっています。withコロナ時代に適応した除菌・除ウイルス剤をスピード感を持って研究、発売に至った技術力と商品力の高さを裏付ける論文、そして社内からの評判も後押しし、ちょうど1本を使い切ったタイミングで、全拠点での導入が決まりました」(大河内氏)
2020年11月以降、受付や各部屋の出入口、トイレの個室など、手の触れる可能性のあるところにはすべて「ユービコールノロVシリーズ」を設置している。
現在に至るまで、従業員の中で、工場経由での新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者は、一人も出ていない。
感染者が1人でも出たら生産活動に影響も
コロナ禍でより重要視されるようになった工場の安定稼働や品質の確保。
もし、生産日本社の所有する3つの工場のうちどれかで、勤務する従業員の中に感染者が一人でも出たら、その現場での製造は一時ストップ。
他の従業員への感染が無い事が担保できるまで稼働できなくなるという。
「工場に感染者が出たら、製品供給ができなくなり、お客様の信頼を失ってしまう由々しき事態です。感染者が出た場合のマニュアルは存在していますが、大前提として『絶対にクラスターを出してはいけない』と従業員一同、危機意識を高く持っています。しかし、新型コロナは依然として分からないことの多いウイルス。日本でもオミクロン株の感染が報告されているため、私たち自身引き続き日々の生活や勤務体制など感染対策を強化していきたいですし、セッツ様の技術開発にも期待しています」
「安心」と「安全」を製品のみならず従業員にも確実に提供する。
その使命を果たす“縁の下の力持ち”として「ユービコールノロVシリーズ」が寄与していたことが実感できるのではないだろうか。
〈取材・文 橋本岬〉
株式会社生産日本社 様のご紹介
1959年に世界で初めて一体型チャック袋を発明し、チャック袋製造に関する技術輸出を通じて、ワールドワイドにチャック袋の普及に努めて参りました。
セイニチには、包みたいものの特性、用途に応じてさまざまな機能を付加し、どんなものも効果的に包むチャック袋をオーダーメイドすることが出来る技術があります。
商品は、ただ新しいからだけではなく使ってみたいと思える付加価値のあるものだけが支持されます。
「セイニチグリップス®」は常に明確な機能性を備えた付加価値をもった製品であり続けることで、生活になくてはならないものとして深く根を下ろして来ました。
チャック袋のチャックは決して飾りなどではなく、開閉の自在性、そして密封力が命です。
セイニチはこれからも移り変わる新たな時代に向け、とことん「開けやすい」「閉めやすい」、やさしく、使いやすいチャック袋をお届けし、皆さんのすぐそばで豊かな暮らしのお手伝いをして行きます。
セイニチ環境負荷低減素材製品のご紹介
「ユニパック®バイオ」 注2 「ユニパック®エコバイオ」 注3
SDGs(持続可能な開発目標)への取組みを推進する為、企業はCO2削減、循環型社会への対応が必要となります。
セイニチはお客様のご要望にお応えすべく、環境に配慮した製品開発、販売を行っております。
一例としまして、
「ユニパック®バイオ」サトウキビ由来のPE原料30%を使用、従来品と比較してCO2を約20%削減。
「ユニパック®エコバイオ」サトウキビ由来のPE原料30%、リサイクルPE原料40%を配合し従来品と比較してCO2排出量を約30%削減。
より一層環境に配慮したユニパック®を発売しております。(食品衛生法適合の為、食品の一時保存でも問題ない品質です)
また、生分解性ユニパックをはじめ環境問題に対応した製品の開発を積極的に行っております。
注1 株式会社生産日本社 ニュースリリース(2021年4月19日)
https://www.seinichi.co.jp/news/detail.html?id=85
注2 ユニパック®バイオ
https://www.seinichi.co.jp/product_info/detail.html?pa=0&s_id=103&ct_id=1
注3 ユニパック®エコバイオ
https://www.seinichi.co.jp/images/news/86/NWFL_60.pdf