創業700年の有馬老舗旅館、驚きの除菌・ウイルス対策とは
左から総料理長 島本信一氏、代表取締役社長 風早和喜氏、支配人 柏木美和氏
日本書紀にも記された日本最古の温泉として有名な「有馬温泉」。
草津温泉、下呂温泉と並び、日本三名泉の一つにも数えられている。創業700年の兵衛向陽閣は、ここ有馬温泉で最大級の温泉施設だ。
3つの大浴場と、2つの庭園付きの貸切露天風呂を有するこの温泉旅館。
また、兵庫県・有馬という土地柄、瀬戸内・淡路・丹波・日本海から取れた旬の食材、そして、高級ブランドとして知られる神戸牛をふんだんに取り入れた逸品料理も堪能できる。
しかし、そんな老舗旅館をコロナが襲った。この2年は緊急事態宣言により2度、長期休業せざるを得なくなったのだ。
現在に至るまで、まん延防止等重点措置の発令時には営業時間を短縮し、外部機関による勉強会を実施するなど、さまざま方法で新型コロナウイルスの感染対策に取り組んでいる。
そんな兵衛向陽閣が除菌・ウイルス対策の一環として導入したのが、セッツ株式会社が製造・販売している除菌・ウイルス除去剤「ノロVシリーズ」と「コロウィン」だ。
もともとは植物油を製造する製油会社として創業した同社は、日清オイリオグループ株式会社の完全子会社となった2017年、事業構造を転換。
現在は業務用洗剤やアルコール製剤などを取り扱う衛生管理事業を中核に据えている。
同社が製造・販売する除菌・ウイルス除去剤「ノロVシリーズ」と「コロウィン」は、高い衛生管理が求められる食品工場や飲食店などで用いられ、コロナ禍では食品業界だけでなく幅広い業界から引き合いを受けている。
有馬温泉を代表する温泉旅館である兵衛向陽閣はなぜ、数多くある除菌・ウイルス除去剤や洗浄剤の中で、同社の商品を導入するに至ったのだろうか。
導入の背景と実際に使用した感想を、支配人の柏木美和氏、総料理長の島本信一氏に詳しく聞いた。
有馬温泉最大級の温泉施設が実施している感染予防対策とは
兵衛向陽閣は北館と南館、西館に分かれており、部屋数は合計で129室。
温泉以外にも、2か所の食事スペースに卓球場やバー、宴会場、ラウンジなど、多くの施設も用意している。この広々とした空間で現在、どのような感染予防対策を実施しているのだろうか。
「お客様の見える範囲だと、チェックインするとき、お客様に除菌シートをお渡ししたり、レストランでは席と席の間にパーテーションを設置したりしております」
「また、大浴場が密にならないよう、大浴場の混雑状況をお知らせするモニターを設置しました。スマイルのイラストの表情と色で、すべての大浴場の混雑具合を把握できます。客室に置いてあるQRコードをスマホで読み込んだら、客室にいても大浴場や朝食会場の混雑状況を知ることもできます」
(大浴場の混雑状況をお知らせするモニター)
「しかし、これらの対策はほんの一部です。ホームページに『新型コロナウイルス感染症に関する対応について』というページを設けており、そこから、さらに詳しい感染拡大防止のための取り組みをお客様も確認できるようになっています」 注1 (柏木氏)
感染予防対策のコンサルティングを受けるほどの徹底ぶり
さらに、従業員の教育も徹底している。兵衛向陽閣の従業員数は約300人。
大所帯ながら、「感染予防に対する一人ひとりの意識はとても高い」と柏木氏は言う。
「神戸市北区と共同でコロナ感染予防対策の講習会を実施したり、外部機関による感染予防のコンサルティングを定期的に受けたりしています。このような感染予防対策に関する取り組みは社長の風早和喜がけん引して進め、社長自ら講習に参加しています。つまり、代表が感染予防対策を重要視しているため、その姿を見ている従業員も、おのずと危機意識が高まっているのです」(柏木氏)
しかし、決してトップダウン型の経営ではないのが、兵衛向陽閣の大きな特徴だ。
「もっとも大切なのは、お客様の安心安全です。ですので、食品衛生や感染予防対策に対して予算を多く割いていますし、従業員から出た対策案は、たとえ新入社員の意見だとしても、必要だと思ったら積極的に取り入れるようにしています。セッツさんの商品を導入したのも、従業員から出た案でした」(島本氏)
過去、兵衛向陽閣では一般のアルコール製剤や次亜塩素酸ナトリウムなどを用いて衛生管理を実施していたが、従業員が使いにくいなどの課題があった。そんな時にエビデンスに裏打ちされたノロVシリーズを約3年前に提案されて厨房で使用したところ、使い勝手も良かったことから旅館全体でアルコール製剤はノロVシリーズで一本化されていったという。
そうしたなか、新型コロナウイルスが流行し、ノロウイルスだけでなく、新型コロナウイルスの感染防止対策も求められる環境となった。
「セッツ様とは取引が始まってから定期的に感染防止対策のコンサルティングも担当してもらっております。ブドウ種子抽出物とエタノールの組み合わせが近年流行しているウイルスはじめ様々なウイルスに対するエビデンスを取得しているなど、以前から衛生管理について高い技術力があり信頼していました。アルコール製剤のノロVシリーズだけでなく、昨年発売されたコロウィンはウイルス除去に関するエビデンスを有しているだけでなく、コロナ禍で使用頻度の増えたアクリルパーテーションなどを劣化させないうえ2度拭き不要で、清掃とウイルス除去が同時にできる商品だったので、ぜひ使ってみようという話になりました」(島本氏)
「二度拭きしないできれいになる」
アルコール製剤のノロVシリーズに加え、約1年前からコロウィンも導入した。どのような場面で活用されているのだろうか。
「ユービコールノロVは館内の通用口に数多く設置しており、ノロVウェットシートは、お皿一つひとつを拭き上げるときに使用しています。また、コロウィンはレストランのパーテーションや客室の清掃のときに活躍しています」(柏木氏)
(お皿を「ノロVウェットシート」で拭き上げる様子)
「料理に使うお皿はもともとシートにアルコール製剤を吹きかけていたのですが、ノロVウェットシートはユービコールノロVを含浸させたシートなので、何千とあるお皿もサッと拭き上げることができ、かなり作業時間が短縮されました」(島本氏)
(客室を「コロウィン」で拭く様子)
(レストランに設置されたアクリルのパーテーションを「コロウィン」で拭く様子)
「『コロウィン』も、従業員から『二度拭きせずにきれいになるのは感動した』という声が上がっています」(柏木氏)
緊急事態宣言が開けても、感染予防対策は緩めない
2021年10月に緊急事態宣言が解除され、客足も戻ってきたという兵衛向陽閣。
GoToキャンペーンの再開もささやかれ、より一層にぎわうことが予想される。しかし依然として、衛生管理や感染予防対策は求められるだろう。
「今後も、信頼しているセッツさんの商品は積極的に導入していきたいと思っています。しかし、商品に頼り切るのではなく、従業員一人ひとりの意識も高めていきたい」(島本氏)
「衛生管理や感染予防対策には答えがないと思っているので、引き続き情報や知識をアップデートして必要な商品は導入していきたいですね」(柏木氏)
〈取材・文 橋本岬〉
兵衛向陽閣 様のご紹介
創業700年の歴史と伝統が宿る老舗旅館。
兵衛向陽閣は、有馬温泉をこよなく愛した太閤・豊臣秀吉より「兵衛」の名をいただきました。
有馬最大級の温泉施設を有し、日本三古湯・日本三名泉に数えられる有馬温泉の名湯「金泉」を、趣の異なる三大浴場の湯巡りで心ゆくまでお愉しみいただけます。
また、食材に恵まれた有馬の地ならではの旬の素材を贅沢に使い、職人の技とこだわりが光る逸品料理の数々と、古来より守り伝えたおもてなしの心で、至福のひとときをお過ごしいただけます。
注1 兵衛向陽閣HP 新型コロナウイルス感染症に関する対応について
https://www.hyoe.co.jp/news/162/
https://www.hyoe.co.jp/news/12/